歯周病と全身疾患の関係

平成16年2月21日(土)に開催された日本歯科医師会『2004年歯の健康シンポジウム〜歯周病と糖尿病の意外な関係〜』より抜粋。




歯周病と糖尿病の関係(鴨井久一/日本歯科大学教授)


歯周病と糖尿病という2つの病気は、痛みはあまりなく、気づいたときには遅すぎるという点や治療等についても似ているところがあり、両方とも加齢と共に増えてくる。

糖尿病も歯周病も気づきにくい。歯周病は血液を介して原因菌が肝臓に回り筋肉脂肪組織に作用してインスリンの分泌を抑えてしまう。

糖尿病は歯周組織のコラーゲンを減少させ悪化させる。自己管理としては、歯周病はプラークコントロール、糖尿病は食事療法であり、これらが非常に難しい。

糖尿病も歯周病も医療費が非常に多くかかっている。

歯を支えている骨の減少を見ると糖尿病の人は歯槽骨は大きく減っている。

糖尿病の人の血液検査では貪食度が悪く、すなわち生体への防御機能が悪いのが分かる。

歯周病の治療の基本は綺麗に掃除することだが、歯周病すなわち歯科の治療をすることにより糖尿病をコントロールすることができてきた。

糖尿病は治癒という考えがしにくいが、歯周病もまたそうである。

糖尿病をコントールするのに歯周病の治療は有効である。

糖尿病も歯周病も自分から立ち向かっていく意識が一番大事である。




■糖尿病の食事と歯周病
(堤 ちはる氏/日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部栄養担当部長)


全身疾患と歯周病は関係が深く、歯周病の原因菌や炎症反応が全身疾患を増悪させる因子となる。

糖尿病があれば早産等の確率も7倍となる。

糖尿病は高血糖となるが歯周病への影響として唾液分泌量の減少が起こる。

さらに唾液中のブドウ糖の濃度の増加を起こしプラークがまとわりつきやすくなる。

また、白血球の機能低下が起こり歯周病が治りにくくなる他、コラーゲンの代謝変化も起こり十分に歯を支えきれなくなり歯周病が進行する。

加齢に伴い、糖尿病発症リスクを低減化するためにもバランスのとれた食事がすすめられる。

歯周病に有効な食事の習慣は、まず咀嚼回数の増加をさせることであり、これにより唾液の分泌量が増加し唾液分泌により細菌の洗い流し効果がおきる。

咀嚼回数の増加は、

〇ゆっくりとした食事となる
〇おだやかに血糖値が上昇する
〇脳の満腹中枢も刺激される等の効果がある

となる。

歯周病の進行予防には血糖値を適正に保つ食事が大事であり、咀嚼回数を増やし唾液分泌を促す食事と定期的な歯科健康診査が重要である。